臓器移植法案・これまでの経緯


 1990年、厚生省は「臨時脳死及び臓器移植調査会(脳死臨調)」を組織し、2年間にわたって討議を重ねた。その結果、1992年1月22日に「脳死を人の死とすることについて概ね社会的に受容され合意されている」として、一定の条件下における脳死体からの臓器移植を認める趣旨の答申が提出された。同月末答申は国会へ報告され、答申を尊重し本問題に取り組む旨の方針が閣議決定された。
 1992年12月、脳死体からの臓器移植の立法化についての検討を円滑に進めていくための各党間の協議の場として、「脳死及び臓器移植に関する各党協議会(各党協議会)」が発足し、法案要綱案をとりまとめるための作業部会が設置された。
同年12月、「臓器移植法案(仮称)要項(案)」がとりまとめられ、1994年4月、「臓器の移植に関する法律案」が議員立法の形で第129回通常国会に提出された。
しかし実質的な審議は全く行われないまま次期国会に持ち越され、同年12月になってようやく衆院本会議における趣旨説明・質疑が行われたものの、さらに継続審議となった。
1995年6月、衆議員厚生委員会において提案理由の説明、同月13日には参考人からの意見聴取が行われたが、その後も実質審議は全く行われず、同年11月名古屋においてようやく公聴会が開かれたのみで、それを最後にいわばたなざらしの状態が続いている。
この法案の論点は、脳死を人の死とするか否か、そして臓器提供に関する本人の生前意思の確認法をどうするかについてである。本人の生前意思を尊重すること、それが不明な場合は遺族の意思を尊重することが世界的には趨勢であり、世界保健機構(WHO)のガイドラインにもその旨は明記されている。
法案提出から2年、今日も多くの患者が亡くなられる現実を思えば、本年6月の通常国会終了までにせめて成立のめどがつくよう、最大限の努力が望まれる。

 表 立法化関連の動き
1990 2月 脳死臨調設置
1992 1月 脳死臨調最終答申
12月 脳死及び臓器移植に関する各党協議会(各党協議会)発足
1993 5月 各党協議会座長・法案の骨子を提出
12月 各党協議会「臓器移植法案要綱(案)」提示

1994

4月 臓器移植法案国会に提出
12月 衆議院本会議において趣旨説明・質疑

1995

6月 衆議院厚生委員会において提案理由の説明
参考人からの意見聴取
11月 衆議院厚生委員会、名古屋市にて臓器移植法案に関する地方公聴会開催
1996 4月 生命倫理研究議員連盟、臓器移植法案の審議再開を強く求める決議文を提出