今後の活動方針について

1996年9月28日
日本移植学会
理事長 野本亀久雄


 臓器移植についてはこれまで脳死臨調を始め、各所で長年にわたり議論されてきております。日本移植学会においてもこれら議論の集大成としての臓器移植法案がわが国において成立するまでは、脳死下で提供された臓器を用いての移植は行わない事を決定し、これまで遵守してまいりました。
 しかしながら臓器移植法案は1994年4月12日に上程されて以来、実質的には何ら審議されないまま放置され、このたび国会解散に伴い廃案となりました。日本移植学会では、このような事態にいたったことに遺憾の意を表明するとともに、今後は学会の方針を以下のように改めることを内外に公表するものであります。

1.日本移植学会は、職能集団として、臓器移植を必要としている方が安心して移植手術を受けられるような環境を整備し、かつ高度の医療サービスを提供することを自らの責務と考えます。これは臓器移植に関する法案の存在如何に関わりません。

2.この責務を全うするため、日本臓器移植学会の責任において、関連学会の理解・協力を得ながら臓器の提供、斡旋、移植に関わる医学的、社会的要件を検討し、脳死臓器移植が公平、公正、確実に行われるよう行動方針を作成し、環境整備を行います。

3.環境が整備された後には、日本移植学会の主導のもとに、関係機関の協力を得て、国民の理解と支持を得られる形で、必要な方に脳死臓器移植を行います。

 日本移植学会は上記の各要件を満たすため直ちに実務の作業部会を発足させます。社会との接点については関係各所と十分に御相談いたします。移植医療の担当職能集団として日本移植学会はその責任を自覚し、担当能力を伸張させ国民の期待に応えるべく努力する覚悟であることを表明いたします。